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鉄道の歴史


1.鉄道と環境の問題
2.鉄道と環境の問題
4.鉄道と環境の問題


 第3次石油ショックの可能性がささやかれている。その確率についてはいろいろな説があるが、われわれの社会が石油エネルギー体系に依存しているかぎり、やはりいつかは起こりうることであろう。イラクによるクウェート侵攻が社会を驚かせたのもそう過去のことではない。対策として、専門家の試算によれば次の石油ショックは過去の第1次、2次のときほど激しい動きではないので、もしいまから毎年0.5%ほど石油の消費を減らしてゆくことができれば、大きな混乱は回避できるという。そこで、交通機関の適切な分担という考え方が登場する。
 自動車の輸送シェアを2割ほど鉄道に転換するだけで、輸送に関するエネルギーを四割近くも削減できる。もちろんこれは輸送の総量は減らさず、いまの鉄道と自動車のシステムをそのまま活用するという仮定のもとである。今後20年から30年かけて自動車の輸送シェアを2割ほど鉄道に移行、すなわち一年あたり1%弱を移行してゆけばよいことになり、経済成長や国民の生活の利便にほとんど影響を与えることもなく達成できる数字ではあるまいか。これは大まかな計算であって、輸送の「質」の問題すなわち鉄道に一キロメートル乗ることと自動車に一キロメートル乗ることは効用がおなじではないから単純に代替でさないという問題がふくまれている。しかし量的にどのくらいの大きさであるかだけをいえば、その節約分は原子力発電所のおよそ5基分に相当するのである。この試算では、いまの交通体系をそのままの形で利用するものとして量的な分担だけを考えたが、鉄道にはエネルギー源の柔軟性や環境保護の点から、質的な面でさらに多くの可能性が広がっている。たとえば電化鉄道を走らせる電気は、それが水力によるものか火力によるものかは関係がなく供給段階で同じ電圧・周波数に変換されていればよい。また非電化鉄道についても、自動車よりはるかに広い範囲のエネルギー源を利用することができる。
  これにたいして現在の自動車は、エネルギー効率そのものが鉄道の10分の1であるばかりか、エネルギー源のなかでも石油系統でしか動かず、しかもそのなかでも貴重な軽質燃料、すなわちガソリンか軽油に固定されている。このような硬直化した交通機関の永続性には疑問がある。自動車にも未来技術と称されるものがあって、電気自動車・アルコール自動車・天然ガス自動車・水素自動車・ソーラーカーなども研究は進んでいる。しかしこのような自動車は、エネルギー別の特殊化が進むわけだから、地域別・用途別など専用システムとしての運行体制でなければ商業的に成りたたないであろう。たとえば体の不自由な人の専用車、近距離貨物、都市内や近郊の路線バス、公共用車などとしてはひきつづき利用されるであろうが、いまのように全国を道路で結んで、鉄道に匹敵するような大量輸送機関として自動車を走らせるという利用法には対応できなくなる可能性が大きい。このため将来は高速道路や高規格幹線道が文字どおり「無用の長物」となる可能性が大いにあり、廃棄自動車道路の再利用法をいまから考えておく必要があるかもしれない。

「日本経済評論社 鉄道は地球を救う」より


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