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鉄道の歴史


1.鉄道と環境の問題
2.鉄道と環境の問題
3.鉄道と環境の問題




 高速道路や自動車専用道路は一般に日あたりの良いところを走っているので、路面に太陽電池板をならべて発電してはどうか。あるいは、高速道路はわざわざ山を崩して風あたりの強い場所を通しているから風力発電にも適している。たとえば路線1キロメートルあたり太陽電池2万5000平方メートル、風車100基(道の両側)をならべることができる。風車は、全方向の風をとらえられるように横に回転する「ダリウス型」(鯉ノボリの竿の風車を大きくした形)である。太陽発電と風力発電は気象によって出力が変動するので、負荷吸収のため蓄電池を設けなくてはならないが、さいわい高速道路の高架下とトンネルはこれに適しているであろう。いま全国に高速道路が4700キロメートルほど開通しているので、このうちトンネルなどを除いて4000キロメートルを「再利用」したとしても、気象変動を考慮して毎時500万から800万キロワットくらいの発電が可能ではないか。これだけでもすでに原子力発電所の5基分に相当する。なお「高速道路発電」のアイデアそのものは夢物語ではなく、すでにスイスで高速道路に太陽電池をならべて実用発電をおこなっている例がある。また太陽発電と風力発電を組みあわせる「ハイブリッド(複合)発電」というシステムは、1985年に福岡市郊外で実用化プラント(無線中継所用)が成功しており、これも現実的な話である。

  さらに「鉄道」の特色として、それ自身が人や物を運ぶだけでなく、ほかの設備と合体してエネルギーを有効利用することができる。たとえば、地熱を鉄道融雪や発電など多目的に利用し、毎冬に雪害のある東海道新幹線の関ケ原地区で、地熱資源を使って抜本的な融雪対策をおこなうアイデアが提案されている。新幹線の走る濃尾平野に「火山」はないが、「深層熱水」という非火山性の地熱エネルギーが埋蔵されており、量的な換算では日本の総発電量の数十年分とされる。地域融雪としては北海道・東北などですでに実用化されているが、関ケ原は年間で雪の降らない期間のほうが長く、融雪だけでは設備が遊んでしまう。このため発電設備(バイナリーサイクルと呼ばれる)も設け、冬は融雪に、冬以外は発電を主とした運転をおこなう。このように鉄道を軸としたトータルシステムを考えると、まさに鉄道は打ち出の小槌といえる。関ケ原の話はまだアイデア段階だが、このような考え方の1つとして、地下鉄のトンネル内に溜まる熱を回収して地域冷暖房に使うシステムは、すでに札幌市で実施されている。
  自動車は、おびただしいエネルギーを放出して走るが、たとえばその排熱を回収して生活に役立てるということが考えられるだろうか。鉄道はエネルギーの面でもバラエティ豊かであり、さらにその利用法にも多様な展開が考えられ、まさに未来にふさわしい交通機関といえる。自動車の要素技術にはまだ多少の発展の可能性があり、特定の用途では将来もひきつづき使われるであろう。しかしエネルギー問題、環境問題から考えると、用途は次第に狭められる可能性が大きい。エネルギーや環境の問題はすでに猶予を許さない状況に進みつつあり、鉄道に次第に追風が吹いてきた。いまはまだ微風しか感じられないが、21世紀にはこれがもっと強力な風になるであろう

「日本経済評論社 鉄道は地球を救う」より


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